仏事
●永代経
永代経とは、『無量寿経』や『阿弥陀経』といったお経の名前ではありません。
ご先祖の命を通して、私たちに伝わって来たお念仏のいわれを深く尋ね、その心に通じさせていただく法要です。
さらには、既に亡くなられた先祖と共に、私たち自身が未来永代に、子や孫もお経と出会い、聞法し、お念仏を受け継いでいくためのご縁の場です。
私たちの人生を仏法に照らし合わせ、明るい未来へ歩んでいくこと。それこそがご先祖から願われていることです。
そして、このご縁と願いをひとつの形にしたのが「永代経法要」です。
亡き人を偲び、亡き人の願いに応え、それをご縁として、仏法を受け継ぐ場であるお寺の護持相続のため、懇志を寄進する尊い伝統が続いてきました。そしてまた、この伝統によって永代にわたって仏法が守られ、ご先祖の供養も引き継がれてまいります。
●お盆
お盆とは「孟蘭盆(うらぼん)」といい、梵語の「ウランバナ」を音写したもので、「倒懸(とうけん)」(木に逆さに吊るされたような苦しみ)と訳します。
お盆の行事は、『仏説孟蘭盆経』というお経に説かれている釈尊のお弟子・目連尊者の物語に由来するものです。
神通第一と呼ばれた目連尊者は、亡き母を案じ、神通力によって母の姿を探し求めますが、母は餓鬼の世界に落ち、苦しんでいました。 目連尊者は悲しみの中、何とか母を助けたいという思いで、食物を母のもとへ運びます。しかし、母のもとでは全てが炎に変わってしまうのです。どうすることもできない目連尊者は釈尊のもとを訪ね、「安居の最後の日に三世の諸仏方に百味の飲食を供えなさい」と教えられます。その功徳によって、母は餓鬼道から救われたという経説がもととなっています。
このような由来のお盆ですが、浄土真宗では餓鬼道から亡き人を救う施餓鬼という行事は行いません。なぜなら阿弥陀如来の本願に出会った者は必ず浄土に迎え入れていただくからです。
ですから真宗門徒にとってのお盆は、法事と同様に、亡き人を通して本願に出会う大切なご縁として行うものです。
●お飾り(お荘厳)の意味
お荘厳とは仏さまを美しくお飾りし、尊崇(尊び崇めること)の意を表すことを言いますが、「荘厳」の本来の意味は形のない大切なものを、形にして表すという意味です。
真理は目に見えません。愛や友情もまたしかり。あたたかさもそうですし、いのちそのものも直接見えるものではありません。ですが、確かにあると感じられるものです。
しかし、人はそうした大切なものをつい見失ってしまいそうになります。ですから、大切なものを感じるための手がかりが必要になります。それがお荘厳というものです。